動悸とは突然心臓がドキドキと早く鳴る症状のことです。
臨床では一般に一過性のものが多く、過労や睡眠不足、食事の不摂生やストレスで起こることが多いです。また不眠,健忘,眩暈,耳鳴などの症状を伴います。

中医学では驚悸と怔忡の二つに分けられます。
驚悸とは動けば驚であり、弱ければ悸のことです。『傷寒明理論・悸』には「気虚では、陽気が体内で弱くなり、心下は空虚のため正気が内動し、悸となる」と述べられています。驚悸は恐れや怒りなどの外部刺激により動悸が起こったり治まったりするのです。よく見られるは突然に発作が起こり、全身状態はよく、病状も軽く、一過性であり、心臓神経症のようなものです。

怔忡とは、常に動悸がすることをいいます。
『丹渓心法・驚悸怔忡』には、怔忡は「血虚である。常に怔忡するものは、血の少ないものが多い」と述べられています。
怔忡は必ず内因により発生し、外部の驚きとは関係なく、少し動くと激しい動悸が起こります。
徐々に発作が起こると、全身状態は悪く、病状も重くなり、心疾患や肺疾患のようなものです。

動悸は中医学理論の中では、「気血虚弱」、「陰陽虧虚」、或いは「痰飲鬱血」、「心失所養」のため急激に驚悸や不安が起こる一つの病症です。動悸の発作の時間や症状も異なっているために、取穴も証に従って変化するべきです。
経絡学中の気血盛衰と病機、病位の推断、または子午流注の時間の医学分析を結合することで動悸の針治療に対し、極めて有効です。

五種の類型の動悸

動悸は大別して五種の類型があります。この五種の異なった動悸には、それぞれの特徴があり、治療法則も大いに異なります。

一、朝起床後の動悸
朝起きた後に起こった動悸の症状は、顔色真っ白、舌質淡、苔白、脈弱。この様な症状は主に肺経の気虚のため、心気不足を引き起こします。
寅時(朝三時から五時まで)以後、気血は既に肺経に流れた為、「肺経空虚」で、ゆえに寅時以後によく発作が起こります。
治療法則:益気養血・安寧心神
二、午前の動悸
午前の動悸の症状は立ちくらみ、顔色が光沢を失う、唇舌色淡、脈細弱。この様な症状の場合は「脾虚気弱」が多い。
巳の刻(午前9時から11時まで) 以後、気血は既に脾経に流れた為、「脾経空虚」で、ゆえに午前によく発作するのです。
治療法則:鎮驚安神
三、午後の動悸
午後から起きた動悸は顔唇が少し青ざめ、舌が紫の斑点で、舌苔がなく、脈が大脈か渋脈などの徴候があります。この様な症状は心血?阻による動悸です。
治療法則:化?通絡・安神定悸
四、睡眠の前の動悸
睡眠の前に起こった動悸は耳介が黒い、舌が淡紅、舌苔が淡白、脈が虚弱や細数などの徴候があります。腎気虧虚により動悸が起こります。
治療法則:補腎養心・安神定悸
五.真夜中の動悸
深夜3時前後に起こった動悸は落ち着かず、胸中に不快感や息切れとめまいがあり、爪が淡灰色、手足はしびれ、舌が暗紫色で、苔が少ない、脈が結代か弦などの徴候があります。肝経血により動悸が起こります。
治療法則:疏肝化

動悸がした初期には針灸治療がとても有効でほとんど回復しますが、直ちに治療しなければ、病状が徐々に重くなり、実証から虚証へ転化と対処が困難になり、回復も遅くなるでしょう。
日頃からの生活習慣によって最小限に抑えられる症状でもあります。できるだけ精神的な刺激を避け、太り過ぎ、血圧の高い人なども日常生活で動悸を避け、十分休息を取り、心臓に余分な負担をかけないように注意すると動悸の回復に補助的な効果が大きいです。