不眠症

『神安則寐,神不安則不寐』

―心神穏やかなれば眠り、心神穏やかならざれば眠れず―

不眠は、古来より数多くの中医古典名著で言及されてきました。

東漢の張仲景が著した『金匱要略』には、「虚弱で疲れ、精神的な不安があると不眠になる」とあります。また、『黄帝内経素問』では、「胃気が不和になると、寝ても安らかではない」とも書かれています。張景岳は、明の時代にその著書『景岳全書』で、「精神が安定すると安眠できる。精神が不安定であれば睡眠も不安定となる…」と述べています。

中医学には、主に不眠の病位は心にありますが、脾や胃、肝、腎にもそれぞれ関連性があるのです。中でも、心と腎は重要な役割を果たしています。その原因は、心労や過労のために心や脾を損傷し、気血が毀損して心神に異常をきたすのです。また、房事過多で腎を損傷、陰虚火旺となって心腎不交の誘因となります。飲食でも脾胃不和を起こし、「痰熱上擾」が生じて心神を不安定な状態にします。また、精神的抑鬱や怒ることにより、肝火をかき乱して「心神不穏」に陥り、不眠の病症を引き起こしてしまうのです。

日本では、5人に1人が不眠の症状に苦しんでいると言われています。不眠症(睡眠障害)の針灸治療は、患者さんの実際の症状によって弁証的にツボを取り、経絡を刺激して臓腑を調節します。このようにして、陰陽の平衡を取り、寧心安神にして不眠を改善することができます。

夜なかなか眠れない、あるいは眠りが浅くて翌朝起きると疲れを感じるなど不眠でお悩みの方は、早めに針灸治療を受けることをお勧めします。u=4077387335,2140097696&fm=21&gp=0 (3)