病 の 悟 り  ≪1≫

病 の 悟 り 

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生命の源泉 ━「意志」と「運動」の大切さ━

  私たちは多種多様な食物を摂取して生きてゆきますが、大抵病気になってしまいます。生きている限り病気にならない人は殆どいません。頑健な人は病気に対する抵抗力が強いので、病気にかかっても気付きませんが、体が弱い人は病気の兆候が表れると、すぐ気付きます。

   病気のことは、気にかけなくてはいけませんが、あまりに気にかけ過ぎてもいけません。気にかけないと軽い病気でも手遅れになって大病になることがあります。気にかけ過ぎると軽い病気でも、ストレスなどが溜まったり、処置が不適切だったりして大病になることがあります。

   病気によっては中国伝統の針灸や医家秘伝の漢方薬での治療によりすぐに全快することもありますが、それでは済まず西洋医学の治療を求めなければならないこともあります(手術で病巣を切除して全快すること、などがその例です)。しかし、病気によっては西洋医学の治療、あるいは漢方薬の投与や針灸治療の施術ではなく、全く自分自身で治し、自分自身の免疫力で治し、それから自分自身の心で治して行くことが要求される場合もあります。

  「病は気から」と言われるように人の意志で7割の病を治すことができます。例え、「不治の病」だとしても、治そうという意志を持つことが大切です。治そうという意志が強ければ強いほど、治療の効果を高めることができます。生きようという意志が強ければ強い程、死に対する恐怖心も克服でき、より長く生きることができます。

  死に対する恐怖心と生存率は反比例の関係にあります。つまり、その恐怖心が強ければ強い程、生存率は低くなり、その逆であれば生存率は高くなります。

   ある報告によると、癌患者の1/3は癌に対する恐怖心が強すぎて死亡し、1/3は癌に対する不適切な治療によって死亡し、その他の1/3だけが真に癌という病気で死亡しているのです。」と言う事です。

   明らかに癌という病気で死亡することを除くと、癌患者の2/3分の人々は、癌以外の要因によって死亡しているのです。これら2/3の人々は、癌という病気自体が死因となっていない訳ですから、精神面においての生きる自信と決意、何度挫折したとしても、生きようという意志を曲げることなく癌と闘う信念を持って、闘病するという前向きな姿勢が必要だったのです。

   病気を治すには早期発見、早期治療することが大切ですが、適切な処置をすることが最も重要です。治療には段階があり、それぞれの段階によってその効果を極めるまで一定の時間が必要であり、その間、本人も精神的に耐えることが必要です。症状によって薬を決める上でも、早期に治療を受けることが大切ですが、最も強い意志こそが病気を治す基盤なのです。言わば、意志と治癒率は正比例の関係にあります。意志を失って、毎日病気の迷路に入り込めば、治療を放棄するに等しくなります。元来、死に至らないはずの軽い病気でも、自分の思い込みに依って死を招く場合があります。

   病気と健康とは相対的であり、絶対的な健康というものはありません。ただ相互にバランスを取り合っているのです。病気になれば、静養が必要です。しかし 静養といっても、全く動かなくてよいという訳ではありません。静養することにより体力は回復できますが、静養のつもりで横になり過ぎると体力を失うことにもなりかねません。元気で健康な体を、常に維持するためには、動と静を組み合わせて活用することが大切です。

   中国では生命在運動』(生命は運動に在り)と言います。これは「生命の源泉は運動することである」と言う永遠の真理を表しています。