坐骨神経痛は痺症範囲に属す。

坐骨神経は末梢神経の中で最も太く長い神経です。第4、5腰神経と第1~3仙骨神経からなり、下肢を支配する主要な神経です。

坐骨神経痛(ざこつしんけつう、Sciatica、Sciatic Neuralgia)とは、中医学から言うと、人体において
1、外邪(寒、暑邪気)の侵入、
2、気滞血欝(気血の流れの障害)、
3、捻挫

などの経絡の閉阻により坐骨神経が刺激されることに起因による神経痛のことです。

疼痛部位は坐骨神経の走行に沿って、腰、臀部、太ももの後面で下肢のふくらはぎの外側辺りや足首にかけて広範囲で放射性の特徴がある強い疼痛症候群です。症状が長引くと臓器の精気を損なって神経、筋肉、骨の栄養失われ、灼熱感、冷え、しびれ、萎縮するなどの症状が現われます。

中国針灸院では坐骨神経痛の治療に対して、伝統針灸医学を基に、針麻酔技術の治療法を行っています。病状、痛点、部位の弁証により選穴する。強刺激手法 温針、温灸 低周波などを併用することによって、温経通絡・活血化欝し、血流を促進し、痛みを和らぎ改善していきます。

今まで来院された坐骨神経痛の患者さん120名のうち、94.8%の方は痛みが和らぎ改善されており、早期(3日以内)の治療を行った患者さんに於いては100%完治されていました。坐骨神経痛の治療には針灸の治療が非常に優れた効果があることがわかりました。

当院、《坐骨神経痛》治療の数ある中の典型的な一症例

  • 北海道江別市、女性患者、50歳
  • 初診日 2011年5月23日

右お尻から下肢足にかけて、引っ張られるような痛みが二日間あり、整形外科でのレントゲン、MRIなどの検査をしましたが結果が、特に異常なし、日に日に症状が重くなり、右の臀部から大腿後面にかけて放散性の痛み、不眠、歩行困難になりました。痛みを我慢できない為5月23日午後、家族の方に付き添ってもらい来院しました。

診察したところ、太ももから足にかけて痛みが強い、真っ直ぐに立てられない。立ったり座ったりするのもつらく、ふくらはぎを触ると硬くなっていました。
環跳穴、委中穴と昆侖などの穴は圧痛があり、下肢の伸び挙げテスト(SLR)は約30°での強陽性です。

診断:
座骨神経痛(足太陽膀胱経型)です。
治療原則:
活血化欝 疏通經脈
治療経過:
足の太陽膀胱経・足の少陽胆経穴を取る。強刺激を施す。20分後に痛みは即軽減し、諸症状もほぼ消えました。翌日に自分で歩いて再来診し、連続3回の治療で快癒しました。(2011.10.13)