胃痛は心窩の中央部(上腹のみぞおち周辺、あばら骨の下辺り)に感じられる疼痛です。

胃痛の一般的な原因としては、不摂生、暴飲暴食、過労、薬剤の副作用、精神的ストレス、情緒不安定、自律神経失調症、寒・湿邪の侵入などが挙げられます。
これらは直接胃の機能に大きな影響を与え、病理上の変化が生じ急性胃炎、慢性胃炎、神経性胃炎、逆流性食道炎、十二指腸胃潰瘍、胃腸の痙攣など痛みを伴う病気を引き起こします。
針灸治療は、胃痛に於いて著しい効果がみられます。古今の文献の統計によれば93%の方に効果がありました。

当院、針灸治療胃痛の数ある中の典型的な一症例

  • 北海道広島市、男性患者、45歳
  • 初診日 2011年9月12日

5年前から、上腹部とみぞおち周辺、あばら骨の下あたりにシクシクと痛み、時々胃もたれ、胸焼け、軟便がありました。色々な病院を転々とし、胃カメラ、胃レントゲン、大腸ファイバー、腹部CTの検査もしましたが、いずれも異常なしと言われました。処方薬の鎮痛剤や胃腸薬も効果がなく、原因不明のひどい胃もたれ、胃痛、軟便の症状は増していき、不眠にも悩まされるようになりました。

そんな不安な日々を過ごしていたところ、丁度1ヶ月前に友人から「中国針灸治療を受けてみてはどうか?」と勧められ、半信半疑ではありましたが、ホームページで中国針灸院を探し、受診しました。

問診、触診の結果:
腹部は柔い、腹部を圧迫してから急に手を離すと痛みが無反跳痛 (Blumberg’s sign)、圧迫痛と腹筋が緊張きしませんでした。
舌質淡、苔薄白、脈弦緩。
本症例は肝気欝結・肝胃不和証に属し。
治療原則:
疏肝和胃・健脾養胃とする。

温中止痛法で毎日一回、25分間置針します。5回目の治療で、上腹部のシクシク灼熱痛(しゃくねつつう)や胃のもたれが軽減しました。
引き続き、18回の治療を行ったところ、胃もたれや灼熱痛、軟便などの症状が消え、良い状態に戻りました。(2011.12.21)